古墳石室

 重たい扉を開けてもらい密閉されていた闇の空間に入ると、独特な湿り気と匂いに全身が包まれます。この匂いと湿り気、そして狭さを「知っている!」って思いました。ユカタン半島チチェン・イツァ遺跡のククルカンのピラミッドに入った、その時の感覚と良く似ています。「あの時は暑かったな」と、順番待ちしながら心をメキシコへと遊ばせていました。

 中腰で前へ進み、90cm四方ほどの2重ガラス越しに、意外に鮮かな奥壁の壁画とご対面。外気との差でガラスが曇りがちになるのを、手動のワイパーで拭うしかけには感心しましたが、保存はこれで大丈夫なんでしょうか。

チブサン古墳石室内部(レプリカ)
チブサン古墳石室内部(レプリカ)
当然ながら古墳内は撮影禁止。これは県立装飾古墳館にあるレプリカです
 学生時代にこの壁画を見に来たことがあるというカップルのお一人が、「以前は朱がもっと鮮かでしたが、気候の関係ですかね」と学芸員さんに聞いています。どうやら、「雨の量(つまり湿度)と関係する」とのこと。「フーン」。

 外に出て学芸員さんに「人が入ると傷むのではないですか」と問うと「できれば公開したくありませんが、市との関係もあって色々とね・・・」と言葉を濁されました。見せていただいてから言うのも身勝手すぎますが、是非このままで(公開を制限しても)後世に残していただきたい、と思って止みません。

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