わたしを離さないで

予告編を観てから気になり図書館に予約を入れていた本、「わたしを離さないで」(カズオ・イシグロ著)が、すっかり忘れていた先日になって手元に届きました。「生とは何か」「人の尊厳とは」「人に区別がつけられるのか」など何とも重いテーマですが、著者特有の淡々とした語り口にいつの間にか引き込まれ、キャシー・ルーシー、トミーの生き様に思わず涙してしまいました。

この小説がどんな映像になったのかDVDを借りて鑑賞しようと検索しましたらあら素敵、まだ目黒シネマで上映中との情報を得ました。それも今日が最終日、慌てて見に行ってきました。

「わたしを離さないで」と「ブラック・スワン」:目黒シネマ
「わたしを離さないで」と「ブラック・スワン」:目黒シネマ

原作と映画は別物と言いますが、本当ですね。ロケ地や映像全体のイメージは小説世界との違和感は覚えませんでしたが、登場人物の言葉が少なすぎて本から受けた微妙なニュアンスは伝わってきません。話の核になるであろう、「Never let me go」を聴きながらキャシーが踊るシーンやそのテープのエピソード、トミーと絵画との関係、何より校長やマダムのヘールシャム寄宿学校と生徒たちへの思いが描けてないのが気になりました。

帰宅してからネットレビューを見ると案の定、本を読まずに映画だけ観た人は校長やマダムを完全に誤解しています。映画を見て物足りなく思った方、是非本も読んで物語の真意を汲み取ってください。

ロビーの映画書籍・資料コーナー:目黒シネマ
ロビーの映画書籍・資料コーナー:目黒シネマ

最後は目黒シネマの宣伝を少々。こちらの映画館を利用したのは初めてですが、二本立てで全席自由席、それに館内での持ち込み飲食が可能と言うのが気に入りました。それに休憩時間にアイスの移動販売があったのも良かったですよ(もちろん1個100円のアイスモナカ買いました(o^_^o))。一番感激したのはロビーに並べられた映画関係書籍の数々で「まるで図書館みたい!」でした。

この本を読むために次回は時間に余裕を持って入館しようと思って帰宅しましたが、HPを見てみると目黒シネマ『図書貸出サービス』があることがわかりました。ちょっぴりレトロで人間味があり、古き良き時代の映画館みたいな目黒シネマ、すっかりファンになってしまいました。

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