ニャック・ポアン

 私の大好きな遺跡、「絡み合う大蛇」と言う意味を持つ”ニャック・ポアン”。丸い小島を映す池は、まるで遺跡群の瞳のようで一目で気に入ってしまったのです。調べて判ったのは、ここも又『自然のままに放置する』遺跡の一つに指定されていたこと。当初中央祠堂を覆っていた大樹が台風で祠堂もろとも倒れたため、現在見られる形(原初の姿)に修復されたそうです。
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ニャック・ポアン
 70m四方の中央池の各辺には、水の受け口(それぞれ象、牛、獅子、人の顔)が付いた小池が設けられています。読んだ本の解説をまとめますと、『中央池は、病を癒す不思議な水をたたえる伝説の湖Anavatapta。四方に流れる水は、地球上の4つの大河。池に浮かぶ小島は、来たものの罪を清める聖なる島』だそうです。”瞳”というより”宝石”のような遺跡ですね。


 今回もこの眺めを期待してきたのですが、乾季も終わりの時期とあって池は干上がり少しも神秘的ではありません。でもその代わり、小島まで歩いて渡れました。途中にある馬の彫刻は神馬ヴァラーハ。救いを求める人々をしがみつかせ、島に向かって飛ぶ姿を表しているそうです。
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乾季のニャック・ポアン
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観世音菩薩の化身、神馬ヴァラーハ
体にしがみついているのはシンハラ達です

 神馬Balahaにはこんな伝説が残されています。『難破して人食い鬼の住む島に流れ着いたシンハラと仲間は、美しい女性に化けた鬼達に捕まった。彼らを夫としその後で食べるつもりだ、と知ったシンハラが困り果てていると、馬が現れ向こう岸まで運んでくれると言う。言われるままにしがみつくと、馬は天高く飛び、彼らは難を逃れた。馬は常日頃からシンハラが崇めていた観世音菩薩の化身であった』。
 これには後日談があって、『シンハラ以外の人々は島に辿り付けず(人食い鬼達に連れ戻されて)殺された。生き残ったシンハラは後に軍隊を組織して人食い鬼を退治し、島の王になった。この島(スリランカ)は彼の名をとって、Simhaladvipa(シンハラの島)とも呼ばれている』。

 「ワォ!」、伝説の島はスリランカだったんですか、これは勉強になりました。

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