スフィンクス

 スフィンクスはエジプトのものというイメージが強いのですが、「朝は四本足、昼は二本足、夕べには三本足となるものは何?」と言う謎を通行人にかけ、解けないと崖から突き落として殺し、八つ裂きにして食べてしまう、という恐ろしい怪物はギリシア神話の中に出てきます。

 ギリシア悲劇の代表作「オイディプス王」の詳しいストーリーは知らなくとも、男の子が父親に対して持つ劣等感と、母親に対する憧れを「エディプス・コンプレックス」と呼ぶのを、どこかで耳にしたことがある方も多いと思います。この悲劇で重要な役目を果たすのが前述のスフィンクスです。

スフィンクスをバックに
スフィンクスをバックに
「お前は実の父親を殺すことになるだろう」

 と言うデルフィの神託を避けようと旅に出たオイディプス。途中の狭い山道で旅の男と言い争いになり、その男を殺してしまいます。そして訪れたテーバイの都では、「この国に災いをもたらしている怪物を退治した者には王位を授け、王妃を妻として授ける。」とのおふれが出ていました。

 オイディプスは怪物の住むピーキオンの山に出かけ、スフィンクスのこの謎に「人間だ!」と答えます。人間は、「赤ん坊(朝)の時はハイハイ(四本足)し、大きくなれば(昼)2本足で歩き、老年(夕暮れ)になると杖をつくので三本足になる」からです。これを聞いたスフィンクスは、谷底に身を投げて自殺し、王国の脅威は消えました。

 こうしてテーバイの王に迎えられた彼は、王妃である実母と結婚し子どもまで生まれ・・・、こうしてギリシア神話最大の悲劇、テーバイ物語は続いていくのです。話に興味を持たれた方、続きは本で読んでくださいね。

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