ベルガマ

 街の中心から歩いて一時間、アクロポリスの丘に残るベルガマ遺跡に着きます。なかでもギリシア文化圏で最大の斜度を持つという野外劇場はすごい。実際に観客席に座ってみると下に転がり落ちてしまいそうな錯覚にとらわれます。

 ここから見下ろしますと遠くの丘の上にもなにやら遺跡らしきものが見えています。長い舗装道路を歩くのはもう疲れましたので、丘の斜面の最短コースを探しながらあの遺跡を目指すことにします。

アクロポリスの丘に残るベルガマ遺跡
アクロポリスの丘に残るベルガマ遺跡
 あまり予備知識もなく期待してもいなかったアスクレピオンでしたが、遺跡内に漂う、暖かく人を包み込むような雰囲気には懐かしささえ覚え、「来て良かった」と思いました。 ここはローマ時代に、ギリシアのエピダウルスから医師を招いて始められたという医療センターの跡。その療法は多方面にわたり、温泉・泥浴・薬草・断食そして暗示治療まで行っていたといわれています。

 何よりも感動したのが、治療室に入る為の地下道とそこに埋め込まれた土管の存在。患者はここを通る時「あなたは治る。絶対良くなる」という医師や看護婦のささやきを神の声とも聞き、自己の自然治癒能力を高めたであろうことが容易に想像できるからです。今でいう心理療法がこの遺跡で行われていたんですね。

 ここに残る列柱は清々しく、今でも一番好きです。

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