コインの話

 パルミラの博物館で見たかったのは、国を滅ぼす一因にもなったといわれるゼノビア自身を刻印したコインです。第一室から順に見ていくと「あった!」。南展示室にあったそれは、思っていたより小さくて不鮮明ではありましたが、女性の横顔は見て取れます。

 AD270年頃この地に、(夫の死後息子の後見人として)君臨した女王ゼノビア。クレオパトラの子孫を自称し、その美しさと気品と野心から伝説の世界へと旅立った、一人の女性の存在をここで確かめることができました。しかもアレクサンダーのコインの隣でです。

 アレクサンダーがこの地方を征服した頃(BC331年)、地中海とユーフラテス川流域を結ぶ交易路の要衝として、すでにパルミラは繁栄していたのでしょう。2つのコインを眺めながら、思いは古代へと遊びます。

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