さなぎ鈴

 もう一つここで興味をひいたのが、御贄柱に下げられていた鈴です。薄い鉄板をメガホン状に丸め、内部に鉄の舌を吊るして鈴の形に作ってある鉄鐸です。「御宝鈴」あるいは「佐奈伎(さなぎ)鈴」と呼ばれ、これを鳴らすのは「誓約のしるし」で、誓約(うけい)の鈴として土地争い、戦争の和睦などのさい鳴らされたとか。

 「こんな形の鉄の鈴は初めてです」と言うと「そうですか。諏訪地方では昔から製鉄は行われていたようですよ」。守矢家ではこの鉄鐸を、鉄鈴・陰陽石とともにミシャグチ神の三種の神器としているそうです。

さなぎ鈴
さなぎ鈴
薙鎌(なぎがま)
薙鎌(なぎがま)

 御柱祭の時、御神木に選ばれた木に打ち込まれるのが薙鎌。古くは風害を防ぐなど魔除けの剣だったらしいのですが、なんとも不思議な形状をしています。 史料館のしおりには『原形は平安時代の鉈鎌とみられ、蛇体信仰からしだいに背に羽根状のウロコをつけたり、クチバシ状をしたり、尾端を折り曲げたりと変化してきた』とありました。

 羽をつけた蛇というと古代メキシコの神様”ケツァルコアトル”のようですし、「たたら」「おろち」など、古代の製鉄から連想するのは古代出雲です。出雲と諏訪を結ぶ線上の能登には、「鎌が打ち込まれたタブの木」を御神体とする鎌宮神社が鎮座していることから見ても「何か関連がありそう」ですね。

 知れば知るほど摩訶不思議な「諏訪の御柱」。神長官屋敷の一画には土着の神と言われる「ミシャグチ神」も祀られています。中央道のこんな近くに古代への入り口があったなんて、感激です。皆さんも不思議ワールドに迷い込みにいらしては?

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