2009年03月27日

2009年03月27日 : アカデミー賞の外国語賞受賞を記念してアンコール上映されていた「おくりびと」を、その最終日の27日に見てきました。暗い内容を覚悟して行ったのですが、心に染み入るチェロの調べと山形の自然をバックに、時々ユーモアを交えた筋運びは巧みで、すんなり物語りに入っていけました。

 戸惑いながらも納棺夫への道を歩む主人公の姿を淡々と綴ることにより、生と死、そして家族とは何かを問いかけてくれます。言葉少なに余韻を残す映像は、余白を生かす日本画にも似て静謐で、見終わった時穏やかな心持ちになっていました。

「おくりびと」最終日に見てきました
「おくりびと」最終日に見てきました
 実は私、短期間ですが葬儀のアシスタントをした経験があります。新聞広告の高時給に飛びついて面接に行き、その内容を知った時の驚きは、まさに主人公の反応と同様で、見ていて思わず笑ってしまいました。

 『納棺夫の仕事内容は最近できたもので、日本の伝統文化ではない』とのご意見もありますが、『死者に尊厳をもって接する』と言う心情は文化と言えるのではないでしょうか。受賞がなければ見に行かなかった作品と思うだけに、アカデミー賞の選考委員の方々には謝意を表したい気持ちです。では皆さん、「自分の葬儀の時の取り扱いは丁寧に」と家族に伝えておきましょう!


 映画と言えば先日フジテレビで、開局50周年記念特別企画ドラマ「黒部の太陽」が放映されました。楽しみにしてTVの前に座ったのですが・・・、配役・演技はちょっと期待はずれでした。それと言うのも1968年に公開された映画、「黒部の太陽」を見ているからです。

 石原裕次郎・三船敏郎両優の、迫真とも言える演技は圧巻で、臨場感のあるトンネル工事の場面など、まるで記録映画でも見ているようなその迫力は未だに記憶に残っています。そんな作品をドラマ化した製作者の勇気には敬意を表しますが、やはり力不足の感は拭えませんでした。

実家に残っていた「黒部の太陽」
実家に残っていた「黒部の太陽」
 ドラマを見て、もう一度原作が読みたくなりました。「確か実家に置いてあるはず」と探しに行きましたら、ありましたありました。上の画像が学生時代に読んだ本の表紙です。

 「黒部の太陽」を読んだら、是非手にとって頂きたいのが吉村昭著の「高熱隧道」です。こちらは大町の山岳博物館友の会で、十字峡に行った時に友人から送られた本で、久しぶりに開いてみたらその時の手紙が出てきました。昭和15年に完工した、黒部第三発電所のトンネル工事を記録したノンフィクション小説です。

 それにしてもなんであの名作をDVDにしてくれないのでしょう。「映画館の大画面・音声で見て欲しい」と言う裕ちゃんの遺志も理解できますが、あれほどの大作が日の目を見ないのは惜しいことですよね。

 『本作がパブリックドメイン(所有権などを侵害しない限り、誰でも自由に利用することができる状態)となる2039年まではソフト化は絶望的』とウィキペディア(Wikipedia)にありましたが、さて、そんな先まで生きていられますかどうか。


「オーストラリア」
「オーストラリア」

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