2009年06月10日

2009年06月10日 : 我が家の近くに、東京海洋大学の品川キャンパスがあります。『東京商船大学と東京水産大学を統合して2004年に誕生した、海洋の研究・教育のみに特化した大学』で、ここ品川キャンパスには海洋科学部が置かれています。
東京海洋大学のフィッシング・カレッジ公開講座
東京海洋大学のフィッシング・カレッジ公開講座
 放送大学の地学実習で一緒だった方が卒業生で、一度キャンパスを案内していただいたこともあり、以前より気になる学校になっていました。今回は別の友人から、「公開講座があるから行かない?」と誘われました。誰でも参加できるとの事だったので、「喜んで!」行って来ました。

 「フィッシングカレッジ」と称する講座の、6月のテーマは「水圏環境リテラシーのススメ」です。魚釣りはしたことがありませんがネットでは、「人と海とのつながりを正しく知る海洋リテラシーのススメ」となっていたので、釣りの知識がなくとも多分大丈夫でしょう。でも一体、リテラシーとは何でしょう?


 10分前に指定の教室に入ってみるとそこには少し日に焼けた、いかにも釣り好きなイメージのする男性ばかりです。誘ってくれた友人にドタキャンされての一人参加でしたから、場違いで肩身が狭い思いをしてしまいました。

 講師は、海洋科学部准教授の佐々木先生です。「水圏環境リテラシー基本原則」と表題された配布物と、スライドをテキストにして講義が始められました。

海洋リテラシーのススメ
海洋リテラシーのススメ
 海に囲まれ、魚食文化を持つ日本でありながら、少し前までは小中学校で海に関しての授業はなく、高校の地学で初めて「海洋」と言う言葉が出てくると聞き驚きました。現在では小学校で水の循環を、中学では海洋のことを学ぶと、少し良くなってきたものの、知識としてはまだまだ不十分なものなのだとか。

 そこで佐々木先生を中心にして、「水圏環境リテラシー」の概念を普及させようとしているんだそうです。このスライドでは目標として、

1、水圏環境機能について基本概念を理解し
2、その知識を他者に、正しく判りやすく伝え
3、水圏環境や資源について、責任ある決定を行える能力
 が示されています。


 数枚のスライドでアメリカの取り組みなどが紹介された後、「ではこれからグループ討論をしていただきます」と、座席順に6人ずつ区分けされました。全部で6,7グループは出来たようです。与えられたテーマは、「水圏環境リテラシーは必要か」と「水圏環境リテラシーをどのように普及させるか」の2つです。

 でもまだ、『リテラシー(Literacy)とは読み書きソロバンのようなもの』と教えられただけです。必要かどうかと聞かれれば、そりゃ必要だと思いますが、日本語になりきっていないこの言葉を、敢えて使う必要性を先に説明していただきたい、と言うのが我がグループの結論でした。

模擬実習:チカとワカサギの判別
模擬実習:チカとワカサギの判別
 この日は中学生や高校生も参加していました。2つ目の普及方法に関して彼らから、「もっと実習・観察のチャンスを増やして欲しい」との意見が出ました。教師の方からも、「川が近くにある羽村に住んでいるが、子供達は川は危険と教えられそこで遊ばなくなった」との報告もありました。

 実習が大切、と言う意見を受けたように各グループに配られたのが、どれも同じように見える10枚ほどの小魚の写真です。一種はキュウリウオ科ワカサギ、もう一種はキュウリウオ科ワカサギ属のチカです。

チカとワカサギを見分けるのは、腹ビレの位置
チカとワカサギを見分けるのは、腹ビレの位置
 「尾ビレの形状が違うのでは?」、「いや背ビレでしょう」と、メンバーの知恵を出し合って何とか二つに分けてみました。その後見分け方が書かれたプリントと、腹ビレの位置を計測するためのスケールが渡されました。なるほど、腹ビレの位置が違ったんですか。『背ビレの位置を基準にして、ワカサギの腹ビレ基部は少し前にずれている』のだそうです。

 あやふやだったチェックポイントが明確になり、これでスッキリしました。たしかにこんな授業だったら、遊び感覚で知識が身について楽しいですよね。佐々木先生、スタッフの方々、水圏環境リテラシーの普及、よろしくお願いします!!

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